GitHubとは?「履歴書より信頼される」エンジニアの必須ツール

結論: GitHub(ギットハブ)とは、プログラムのソースコードを保存・管理し、世界中の開発者と共有したり共同作業したりするための「開発プラットフォーム」です。

「プログラミングを始めたら、まずはGitHubのアカウントを作れ」と言われるほど、現代の開発において標準的なツールとなっています。単にコードを保存・管理するだけでなく、チームでの議論、バグの管理、自動テスト、さらにはAIによるコーディング支援まで、開発に関するあらゆる工程がここで行われます。

この記事では、GitHubの基本的な仕組みから、仕事で欠かせない重要機能、工程、そしてなぜ「エンジニアの履歴書」と呼ばれるのかまで、その全貌を詳しく解説します。

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GitHubとGitは何が違うのか?

初心者が最初に突き当たる壁が、「Git(ギット)」と「GitHub(ギットハブ)」の混同です。名前は似ていますが、役割は明確に異なります。

  • Git:プログラムの変更履歴を記録する「ツール(ソフトウェア)」です。自分のパソコン上で動作し、「いつ、誰が、どこを変えたか」を記録します。
  • GitHub:Gitを使って記録したデータを、インターネット上に保存・共有する「サービス(Webサイト)」です。

例えるなら、Gitは「カメラ」で、GitHubは「YouTube」のような関係です。
自分の手元でレコーディングするのがGit、それをアップロードして世界中に公開したり、みんなでコメントし合ったりする場所がGitHubです。

項目GitGitHub
正体バージョン管理ツールWebサービス(プラットフォーム)
場所自分のPC(ローカル)インターネット上(クラウド)
主な目的変更履歴の保存・復元コードの共有・共同開発・管理
動作コマンドで操作することが多いブラウザ上で操作することが多い
Yachi

「Gitは知っているけどGitHubは使ったことがない」という人は稀にいますが、その逆(Gitを知らずにGitHubを使いこなす)は不可能です。GitHubを使いこなす第一歩は、背後で動いているGitの仕組みを理解することにあります。

GitHubを支える「Git」自体の仕組みについてはこちらの記事で解説しています。

GitHubを支える主要な機能

GitHubには膨大な機能がありますが、まずは以下の4つを理解すれば、エンジニア同士の会話の8割は理解できるようになります。

1. リポジトリ(Repository)

プロジェクトの「保管庫」です。コード本体だけでなく、画像、ドキュメント、そしてGitによる変更履歴がすべてこの中に収められます。

  • Public(公開)リポジトリ:世界中の誰でも中身を見ることができます。オープンソースソフトウェア(OSS)の多くはこの形式です。
  • Private(非公開)リポジトリ:自分や招待した特定のメンバーだけがアクセスできます。仕事でのプロダクト開発や、個人の練習用コードは通常こちらを使います。

2. コミット(Commit)とプッシュ(Push)

自分のPCで書き換えたコードを「記録」するのがコミット、その記録をGitHub上のリポジトリに「放り込む(アップロードする)」のがプッシュです。
「昨日の夜にプッシュしておいたから確認して」という会話は、GitHub上に最新のコードを反映させたという意味になります。

3. プルリクエスト(Pull Request / 通称:プルリク)

チーム開発の要となる機能です。自分が書いたコードをメインのプログラムに合流させる前に、「この変更を取り込んでください(Pullしてください)」と依頼する機能です。
プルリクエストを送ると、他のメンバーがそのコードを読み、コメントを付けたり、修正を依頼したりできます。これを「コードレビュー」と呼びます。

4. イシュー(Issue)

バグの報告、機能の追加要望、相談事項などを書き込む「掲示板」のような機能です。
「ログイン画面が崩れている」というバグが見つかったらイシューを作成し、それを誰が担当し、いつまでに直すかを管理します。

なぜGitHubが「履歴書より信頼される」のか?

IT業界の採用において、GitHubのURLを共有することは一般的です。なぜ職務経歴書よりも重視されることがあるのでしょうか。

「草」を見れば継続性がわかる

GitHubには「コントリビューション(Contributions)」という、活動量を可視化するグラフがあります。コードをプッシュしたり、イシューにコメントしたりすると、その日のマス目が緑色に染まります。これが芝生のように見えるため、エンジニアの間では「草を生やす」と呼ばれます。
毎日コツコツとコードを書いている人のプロフィールは緑一色になり、その人の継続性や学習意欲が一目で伝わります。

思考プロセスが可視化される

完成したコードだけを見ても、その人がどう悩んで、どう解決したかは分かりません。しかしGitHubなら、コミット履歴(思考の軌跡)や、プルリクエストでの議論の様子が見えます。「この人は指摘に対して柔軟に対応できるか」「他人のコードに対して建設的なレビューができるか」といった、コミュニケーション能力や技術的な深みが露わになるのです。

Yachi

採用の担当者は、コードの綺麗さだけでなく「コミットメッセージ(変更時のメモ)」の丁寧さも見ています。「fix」や「update」だけの適当なメッセージばかりだと、実務での丁寧さを疑われる可能性もあります。

実際の開発でよくある流れ

GitHubを使ったチーム開発(GitHub Flowと呼ばれる手法が有名です)は、一般的に以下のようなステップで進みます。

  • Issueを立てる:やるべき作業(タスク)を明確にする。
  • ブランチ(Branch)を切る:本番用のコードを汚さないよう、作業用の「枝(コピー)」を作成する。
  • コードを書いてコミットする:作業を進め、こまめに記録を残す。
  • プッシュしてプルリクを作成する:GitHub上にアップし、「レビューお願いします」と依頼する。
  • コードレビューを受ける:仲間から「ここはもっと良くできる」といったアドバイスをもらい、修正する。
  • マージ(Merge)する:承認を得たら、作業用のコードを本番用のコードに合流させる。

この流れを繰り返すことで、複数人で同時に違う箇所を開発しても、コードが壊れたり、先祖返り(修正が消えること)したりするのを防いでいます。

注意点:初心者がやりがちな「大失敗」

GitHubは非常に強力なツールですが、使い方を誤ると取り返しのつかない事態を招くことがあります。

1. 秘密情報を「公開」してしまう(最重要)

AWSのアクセスキー、データベースのパスワード、APIキーなどをコードの中に直接書き込み、そのままPublicリポジトリにプッシュしてしまうミスです。
世界中の悪意あるプログラムが, GitHub上の秘密情報を24時間体制でスキャンしています。
プッシュした数秒後にはキーが盗まれ、高額なクラウド利用料を請求されたり、データが漏洩したりする事件が後を絶ちません。

Yachi

一度プッシュしてしまった秘密情報は、後から削除しても「履歴」の中に残ってしまいます。その場合は「履歴から消す」のではなく「キー自体を無効化して新しく発行する」のが鉄則です。

2. コンフリクト(衝突)を恐れすぎる

同じファイルの同じ箇所を二人以上の人が同時に編集してプッシュしようとすると、「どっちの変更を採用すればいいの?」とGitが困ってしまいます。これがコンフリクトです。
最初はパニックになりがちですが、コンフリクトは「エラー」ではなく「確認作業」です。落ち着いて差分を確認し、手動でコードを整えれば解決できます。

3. READMEを放置する

リポジトリのトップページに表示される「README.md」というファイルは、そのプロジェクトの「顔」です。
何のためのプログラムなのか、どうやって動かすのかが書いていないリポジトリは、どんなに中身が優れていても、他人(あるいは未来の自分)にとって使い物になりません。

秘密情報として登場した「API」の正体についてはこちらの記事が参考になります。

GitHubの進化と最新トレンド

GitHubは単なるコード置き場を超え、開発全体を効率化するプラットフォームへと進化し続けています。

GitHub Actions(自動化)

コードをプッシュした瞬間に、「自動でテストを実行する」「自動でサーバーに公開(デプロイ)する」といった仕組みを簡単に作れます。これをCI/CD(継続的インテグレーション/継続的デプロイ)と呼びます。

GitHub Copilot(AI開発支援)

OpenAIのモデルを活用したAIコーディングアシスタントです。コードの続きを予測して提案してくれたり、自然言語で指示を出すだけで関数を丸ごと生成してくれたりします。
現在、多くの企業がGitHub Copilotを導入しており、開発スピードを飛躍的に向上させています。

Yachi

AIがコードを書いてくれる時代だからこそ、人間には「AIが書いたコードが正しいか、セキュリティに問題がないか」を判断する力が求められています。

GitHub Copilotの基盤である「LLM」の仕組みについてはこちらの記事をチェック!

似ているサービスとの比較

GitHub以外にも、Gitリポジトリを管理するサービスは存在します。仕事で使う可能性があるため、特徴を抑えておきましょう。

  • GitLab:GitHubに非常に近い機能を持っています。自社専用のサーバーにインストールして運用できる(オンプレミス)点が強みで、セキュリティに厳しい企業でよく使われます。
  • Bitbucket:アトラシアン社が運営しており、JiraやConfluenceといったタスク管理ツールとの連携が強力です。

しかし、世界最大のコミュニティと、圧倒的な情報量を誇るのはGitHubです。特別な理由がない限り、個人の学習やOSS開発ではGitHub一択と言っても過言ではありません。


まとめ

GitHubは、単なるツールではなく、エンジニアが協力し合い、高め合うための「文化圏」そのものです。

  • Gitの履歴をクラウドで管理・共有する場所
  • プルリクエストを通じて、チームでコードの品質を高める
  • 自分の活動(草)がエンジニアとしての実績になる
  • 秘密情報の公開には細心の注意が必要

まずは自分の書いた小さなスクリプトをリポジトリに上げるところから始めてみましょう。最初は操作が難しく感じるかもしれませんが、日常的に触れることで、GitHubなしでの開発は考えられなくなるはずです。

Yachi

GitHubを使い始めると、世界中の優秀なエンジニアが書いたソースコードを公開されている範囲で自由に見ることができます。「この機能はどうやって実装されているんだろう?」と気になったら、GitHubで検索してみる。その習慣こそが、技術力を飛躍させる最短ルートになります。

この記事を書いた人

生成AIコンサルタント / テックリード

外資系IT企業にて社内の生成AI活用推進と
生成AIプロダクト開発リードを担当。

かつてはWeb系のエンジニアとして、
モダンな技術スタックでのシステム開発から
数百億レコード規模のデータベース運用までを
フルスタックに経験。

「コードも書けるコンサルタント」として、
活用論と実装論の両面から、
現場で使えるIT知識を発信します。

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